「Samurai Fotoトークセッション@CP+2013」レポート

ブース内にはメンバーのプリント作品を展示させていただきました。
ブース内にはメンバーのプリント作品を展示させていただきました。

Samurai Fotoの設立理念や目標としているところ、活動の様子なども公開いたしました。
Samurai Fotoの設立理念や目標としているところ、活動の様子なども公開いたしました。

CP+開催中の4日間はメンバーが交代で参加。大盛況でうれしい限り、ありがとうございました。
CP+開催中の4日間はメンバーが交代で参加。大盛況でうれしい限り、ありがとうございました。

ビデオジェット・エックスライト社の冨川丈司さん(右)は4日間通して、私たちの話をうまく引き出してくださいました。会長の蓮見さん(左)が見せているのはフレスコ壁画にブリントした松木さんの作品。
ビデオジェット・エックスライト社の冨川丈司さん(右)は4日間通して、私たちの話をうまく引き出してくださいました。会長の蓮見さん(左)が見せているのはフレスコ壁画にブリントした松木さんの作品。

基本的にはメンバー3人ずつが冨川さんの質問に答える形で、トークセッションは進行していきました。
基本的にはメンバー3人ずつが冨川さんの質問に答える形で、トークセッションは進行していきました。

Samurai Fotoは写真の指導ができる人材を輩出するのも目的の1つ。人前でリクッラスして話せるようになるためにもいい経験でした。
Samurai Fotoは写真の指導ができる人材を輩出するのも目的の1つ。人前でリクッラスして話せるようになるためにもいい経験でした。

来てくださった方々も私たちの作品を熱心に見てくださっていました。
来てくださった方々も私たちの作品を熱心に見てくださっていました。

ご来場のみなさんのおかげで、笑顔も出て、初めてにしてはいい感じでやらせていただけました。
ご来場のみなさんのおかげで、笑顔も出て、初めてにしてはいい感じでやらせていただけました。

蓮見さんの作品はアワガミさんのブースでも展示。
蓮見さんの作品はアワガミさんのブースでも展示。

トークセッション「海外アート市場への挑戦」

※ビデオジェット・エックスライト社の冨川丈司さんに司会をお願いし、Samurai Fotoの江田よしお、Hidetaka Onoyama、五島直、佐々木一弘、 田上晃庸、 蓮見浩明、 松木克信(五十音順)が参加しました。以下、Q&Aの形で4日間の内容をまとめました。

アート作品としての写真で世界を目指したい

Q1. 「プリント作品を世界に向けて発信していこう」という熱い思いをお持ちだとお聞きしたのですが、どのような経緯で設立されたのですか?

A1. 昨年、GANREF内で選抜による写真展が開催されました。写真は自分でプリントしてこそ作品になるわけですが、 そのとき指導していただいた写真家の吉田繁先生から「何を伝えたいためにこの被写体を選んで、このように表現した」というコンセプトづくりも求められました。全員初めてのことでかなりハードルが高かったのですが、コンセプトを作り込んで作品を仕上げてみたら、何も考えないときよりもいい作品になっていました。写真展終了後には腕が上がっていたことが実感できたんです。それで、プリントやコンセプトなど作品づくりに至るプロセスや世界標準のアート作品を目指して学べる場所はないかと探しましたが、日本にはなかったんです。それじゃあ、自分たちでつくるしかないかということになりました。

撮影後はパソコンのモニターが自分の目

Q2. みなさん、プリントがお上手ですが、撮影画像をパソコンに取り込んでからやっていく作業のなかで大切にしていることは何でしょうか?

A2. 撮影中はヒストグラムに注意しますが、撮影後に自分の目となるのはパソコンのモニターです。ですから、キャリブレーションできるモニターを使って、まずは色や明るさをきちんと調整しておく。プリントしたときのイメージがモニター画面上で把握できないと自分が求める表現に近づけることはできませんから、これは必須です。それを見るための環境光も高演色性の蛍光灯などにしています。

A3ノビ以上の顔料系プリンターが必須

Q3. どのようなプリンターを使っているのか、とても興味があるのですが……。

A3. ほとんど全員がA3ノビサイズがプリントできるプリンターを使っています。写真展用のプリントをするとなると最低、このサイズが必要です。A2がプリントできるものならもっといいとも思っています。
A4プリンターだと多くは複合機になっていて、プリントの際の細かいコントロールができませんし、保存性の高い顔料インクを使えないこともあります。
私たちがよく使用するアート紙は厚さがありますし、和紙はスリップしやすいのでオートシートフィーダではなく、手差しで給紙する必要があります。用紙の厚さやプラテンギャップなど、細かい設定ができるプリンターを使っています。

自分のコンセプトや表現に合わせた用紙選び

Q4. みなさん、フレスコジクレーやアワガミ、キャンソン、ハーネミューレー、フレスコ壁画など、いわゆるアート紙を使っていますが、それはどうしてなのでしょう。

A4. アート紙には表面にテクスチャーのあるもの、黒が締まるもの、逆にやわらかいトーンになるものなどがあり、個性的です。プリントしたときに紙によって、自分の作品の個性を出すことができるからでしょうか。
光沢紙を好まないのは、蛍光増白剤が入っているものが多いからで、これが含まれていると時間とともに劣化して黄ばんでくるという難点があります。
自分のコンセプトやテーマ、モチーフに合わせて、なるべくアーカイブ性の高い用紙をそれぞれが選んだ結果だと思います。

出力イメージをシミュレーションしておこう

Q5. Samurai Fotoの方々が使われている用紙だと、最暗部が締まらなかったりすると思うのですが、どんなふうにコントロールされていますか?

A5. シャドウ部が出にくい和紙などは黒が黒になりませんが、無理にやろうとする濃いグレーでベタッとつぶれて階調がなくなります。そういうときはまずシャドウ側を持ち上げます。このままでは眠くなりますから、トーンカーブでシャドウ側をつぶさずにメリハリが出るように画像処理していきます。
画像処理の際に大切なのは、自分の使用する用紙の場合にはどんなふうに印刷されるかというプリントシミュレーションをすることです。
ビデオジェット・エックスライトさんのColorMunkiやi1Photo Pro2で用紙のICCプロファイルをつくっておいて、Photoshop®の「校正設定」で紙色のシミュレートをする。あるいは三菱電機さんのグラフィックモデル専用ソフトウェア「トーンカーブエディターβ版」を使う。これならRAW現像時から紙色がシミュレーションできるので、画像の劣化が少ないですからおすすめです。
自分が表現したいイメージへと追い込んでいくためには、プリントのシミュレーションをすることが基本になります。

シャドウ部がつぶれる用紙の画像処理例

★4日間のトークセッションをダイジェストは上の動画でご覧ください。
★トークセッションの詳しい内容は三菱ディスプレイさんのサイトにも掲載していただいています。 外部サイト詳細はこちら