世界のアート情報と先端技術を学ぶ FOTO SUMMIT レポート vol.1

当日のカリキュラムはこちらからご覧ください

ケンコートキナー田原さんのご挨拶

ケンコートキナー田原さんのご挨拶
SAMURAI FOTOの勉強会やセミナーなどにいつも会場をお貸しいただいているケンコートキナーの田原さんからのご挨拶でセミナーがスタートです。

蓮見会長からSAMURAI FOTOの紹介

蓮見会長からSAMURAI FOTOの紹介
会長の蓮見さんから、世界のアート市場を目指して活動しているSAMURAI FOTOでは、日頃、どんな活動を行なっているのか説明していただきました。

「海外フォトレビューへの道」SAMURAI FOTO副会長 田上晃庸さん

「海外フォトレビューへの道」SAMURAI FOTO副会長 田上晃庸さん

ドラマが生まれ、人生が豊かになった

田上さんはまずは、SAMURAI FOTOに入会するきっかけから昨年のアルルでのフォトレビューに参加するまでの体験談を発表。本格的に写真を始めて5年しか経っていない自分は「海外に挑戦するには実績はいらず、情熱があればいい」という典型的なパターンであり、だからこそ、その間に体験したことを皆さんに伝えたいと熱く語ってくれました。その中でもっとも強く感じたことは、海外に挑戦することは写真を撮るという楽しみを越えて、自分自身の生活にそれまでになかったドラマが生まれ、人生が豊かになったことだという。

「海外フォトレビューへの道」SAMURAI FOTO副会長 田上晃庸さん

次世代を育てるSAMURAI FOTO

すでに海外のフォトレビューに何度も出かけている吉田繁先生と蟹江先生からは海外の情報をいつも詳しく教えてもらっていた。それはなんとしても次世代を育てたいというおふたりの強い願いからで、それによってさまざまなことを学んだという。SAMURAIの最初の写真展『Japanese Beauty』のために旅したときに出会った仏像をモチーフにすることにしたが、吉田先生からは「光が見えてない」といわれた。しかし、そのためのレッスンもしてくれた。SAMURAIはトップクラスの助言が受けられ、それを解決していくための方法までも教えてくれるところだと実感した。

「海外フォトレビューへの道」SAMURAI FOTO副会長 田上晃庸さん

フォトレビューはネットワークを広げる場

アルルでは14名のエキスパートにレビューを受けた田上さん。それは貴重な経験になったという。まず必要だと感じたのは英語の能力。帰国後から毎日、英語の勉強をしているという。次は読書。コンセプトをみつめ直したり、海外の人に伝えるためには知識を広げる必要がある。さらには歴史を学ぶこと。アートでは今が求められるが、過去を知らなければ今を定義することはできない。そして、国際写真フェスティバルに参加している吉田先生を見ていると、その場で多くの著名なレビュアーや写真家と友だちになっている。自分のプレゼンだけを目的にするのではなく、来年のヒューストンのフォトレビューでは多くの友だちをつくることも目標にしたいと考えている。

「海外フォトレビューへの道」SAMURAI FOTO副会長 田上晃庸さん

SAMURAI の活動から広がっていくドラマ

SAMURAIでは自分なりのアートの定義を発表させられたが、これで活動方針が明確なったという田上さん。また、蟹江先生が国際写真フェスティバルPhotoVisaで録画してきてくれた海外の著名なレビュアーの「アート写真とは何か」というインタビューもタメになった。SAMURAIのレビューの練習をしてくれたエバレット・プラウンさんとの出会いは仏像をモチーフとしていくことを力強く後押ししてくれた。そして、いまは有名寺院に撮影許可をもらうために動いたり、アメリカの美術館への紹介の道も開けた。これらはすべて、自分が海外に挑戦しようとして初めて生まれたドラマ。だから、海外のフォトレビューに挑戦するということは、人生を豊かにしてくれることである。

「アーティストステートメントはなぜ必要か」蟹江節子先生

「アーティストステートメントはなぜ必要か」蟹江節子先生

アーティスト・ステートメントとは……

アーティスト・ステートメントには2つの目的がある。まず、1つ目は「アーティストに代わって作品について語るもの」。そのため、写真展やフォトレビュー、フォトコンでは必要になる。もう1つは「作品の価値を高めるためのもの」。これはアートマーケットのシテスムに関係している。写真は何枚もプリントできるため、プロジェクト(シリーズ作品)ごとにエディションを決めるが、ステートメントもプロジェクトごとに付けられる。エディションを切ることで、1枚しか存在しない絵画のような価値をつくるのだが、それに付けることによって作品の価値を高めているのだという。

「アーティストステートメントはなぜ必要か」蟹江節子先生

ステートメントの必要性を実感した出来事

ここ数年、さまざまな海外フォトレビューを取材して感じてきたのは、海外の写真作品は日本のものに比べてバリエーションが多いこと。また、ただ美しい、あるいは上手いだけではない。むしろ、美しいとはいえなくても、力強く、見るものの心を捉えて離さない。それはなぜかと思いながら、フォトレビューの取材を続けてきたが、それがこれまでの日本にはなく、海外では普通に必要とされているもの「アーティスト・ステートメント」だったという。事実、SAMURAI FOTOでもステートメントを書くようになってから、個々の作品のレペルが格段に上がったという。

「アーティストステートメントはなぜ必要か」蟹江節子先生

思想を論理的にまとめるのが苦手な日本人

アメリカで写真を教えている人の中にはステートメントを書くなら、その時間に作品撮りをすべきだという人もいる。しかし、日本ではアメリカのように子どものころからスピーチやディペートの授業を受けて育たない。むしろ、みんなと同じ意見であること、はみ出さないことが正しいことのような雰囲気の中で育つ。そのため、アーティストとして独自の思想や哲学を持つことが不得意である。ステートメントを書くということは、とりもなおさず、表現したいことを論理的にまとめて発表すること。この日本人がもっとも苦手なことに取り組んでいかないと、人を惹きつける作品をつくることはできない。

「アーティストステートメントはなぜ必要か」蟹江節子先生

独自の哲学を引き出すためのステーメント講座

蟹江先生はSAMURAI FOTOのメンバーにだけでなく、いろんな場所でステートメント講座や添削会を開催している。だが、これは単に文章の書き方を教えているのではなく、作者の独自の哲学を引き出すことを念頭に開催されているという。自分の作品をつくりたいという人の心の底には、独自の哲学の「種」のようなものがあるのだが、自覚されていない。それを言葉として認識するために、ほかの参加者の作品やステートメント、彼らや蟹江先生の言葉によって刺激を受ける。そのことによって、やがては自分だけの哲学が生み出せるという。

「世界のアート情報」コスモスインターナショナル社長 新山洋一氏/インタビュアー 蟹江節子先生

「世界のアート情報」コスモスインターナショナル社長 新山洋一氏/インタビュアー 蟹江節子先生
毎年6月の4日間で開催される世界最大規模のアートフェア『アートバーゼル』。お父様である新山清氏の作品が多数展示されるため出かけた新山社長からその様子と、今年から始まったフォトバーゼルについても写真と動画でどのようなものだったか説明していただいた。

「世界のアート情報」コスモスインターナショナル社長 新山洋一氏/インタビュアー 蟹江節子先生
アートバーゼルのあと、フォトトリエンナーレ・ハンブルグにも足を伸ばした新山社長は、海外の著名なレビュアーや写真家たちが招かれたパーティにも参加。世界に出て行くことでネットワークが広がり、その交流がさらに輪を広げていく楽しさについて語ってくれました。

*FOTO SUMMIT レポートはvol.2、3、4まであります。引き続きご覧いただけると幸いです。

当日の動画は[Members only]ページから見ることができますので、SAMURAI FOTOメンバーの皆さんはそちらからご覧ください。