2016年9月25日勉強会の議題
- 表現力向上プロジェクト「同じデータから各々のコンセプトでプリントする」
- 羽賀さん画像(原田、村田、青山、佐々木一弘、蓮見、江田)
- 青山さん画像(蓮見、羽賀、村田、佐々木浩二、江田、佐々木一弘、原田)
- 作品発表(村田、前田、原田、佐々木浩二、江田、益田、若松、中村)
表現力向上プロジェクト「同じデータから各々のコンセプトでプリントする」羽賀さん画像
(原田浩司、村田光司、青山紀子、佐々木一弘、蓮見浩明、江田よしお)
今回の宿題プリントの1つ目はメンバーの羽賀さんが撮影された東京の水風景4枚。この中からそれぞれが考えたコンセプトに基づいてレタッチし、プリントをしました。
原田さんは灯篭の映り込みにフォーカスするようにトリミングして、背景をモノクロ化。上部のアーチ橋をぼかしました。用紙はハーネミューレのウィリアムターナーと色域調整が似たキヤノンのプレミアムマット。
村田さんは明治時代の彩色写真風。彩度を抜きコントラストを浮かし、ノイズを乗せました。ノイズは建仁寺で撮影した屏風の無地部分。古色の雰囲気ある作品になりました。
青山さんは建物部分をハイコントラストにして、コンテンポラリーアートの雰囲気にしました。それによって夕焼けの空が印象的になるように仕上げています。
蓮見さんは「住まいとは何か」を問うのがコンセプト。オリジナルの上部を反転させて、空に浮かんだ都市のように表現しました。用紙はエプソンのウルトラスムース。
江田さんは点在する灯篭の光を主役にして、その光で流れを生み出すようにトリミング。用紙はキャンソンのエディション・エッチング・ラグ。
たくさんの作品の中から、撮影者の羽賀さんが選んだのはこの2点。自分だけでは浮かんでこないレタッチやプリントのアイディアがとても参考になったという。
表現力向上プロジェクト「同じデータから各々のコンセプトでプリントする」青山さん画像
(蓮見浩明、羽賀孝夫、村田光司、佐々木浩二、江田よしお、佐々木一弘、原田浩司)
表現力向上プロジェクトの2つ目は波や岩などの風景を部分的に切り取った青山さんの作品。造形力があり、暗部の多いデータなのでかなりのテクニックが要求されました。
青山さんは黒く締まっているのが好きだと感じられた蓮見さんはギリギリ最暗部が見えるようにプリント。あまりにいじらずに少しだけソフトに加工しています。
羽賀さんも少し明暗をつけて印象的に加工。用紙はキャンソンのエディション・エッチング・ラグ。滑らかな肌目で蛍光増白剤無添加用紙の中では最も白いともいわれています。
シャドウ部ギリギリが多い青山さんの作品はそのままだとマット紙や和紙では潰れてしまう。その最暗部をどのくらい持ち上げるのか、村田さんは3種類プリント。
佐々木浩二さんは岩肌の砂岩のようなテクスチャーがよく見えるように彩度を上げました。地層による色の違いも見えてきました。
江田さんは中心部をRAW現像時に明るく起こし、あとは岩の堅さと光の柔らかさを表現。微妙なソフト処理を入れながらも硬質さを残しました。
佐々木一弘さんはアワガミの新しい用紙「群雲こうぞ」を使用。薄い用紙なので、ハイトーンにしてギリギリまで薄めた加工。面白い表現になりました。
原田さんは左側のシャドウ部と右側の白い部分の波間にレフを当て、ゴールドに着色。左のシャドウ部を強調しながらも暗部が潰れないようにしています。
さまざまなレタッチでさまざまな用紙にプリントされた作品が集まりました。撮影者もプリントしたメンバーもそれぞれがテクニックを学べる宿題です。
最近、プリントを始めたばかりの青山さんは自分だけだと凝り固まってしまうが、黒がこれだけ出ること。使ってみたいという用紙の勉強にもなったそうだ。
青山さんが気に入った村田さんの作品のレタッチ法も詳しく教えてもらいました。まずはRAW現像。ヒストグラムを確認すると、シャドウ部のデータが左ギリギリまであり、これではマット紙などでは潰れてしまう。また、ヒストグラムのハイライト部の右側はかなり空いているので、最暗部を少し右にズラし、ハイライト部もデータを右に伸ばします。画像上部が明るくなりすぎるので、グラデーションマスクで締めます。マット紙や和紙にプリントする場合には、Photoshopの校正設定でプロファイルを当てて紙色シミュレート。その状態でトーンカーブを開いて、暗部をどのくらい持ち上げるのか検証します。画面を見ながら自分がいちばん気持ちいい階調のところへ暗部のカーブを持っていくといいという。
作品発表(村田光司、前田有歩、原田浩司、佐々木浩二、江田よしお、益田悦孝、若松誠、中村豊美)
8名のメンバーが現在制作中の作品を発表。ステートメントが完成していなくても、撮影途中でも、どのようなことを目指してどのような点で悩んでいるかなどを公表することで、他のメンバーから多くの意見やアイディアなどを聞くことができます。アーティストとして作品をつくり続けながら、ブラッシュアップしていくためには必要な場であり、勇気づけられる時間にもなっています。
当日の動画は[Members only]ページから見ることができます。SAMURAI FOTOメンバーの皆さんはそちらからご覧ください。