Lumiere Brothers Center for Photography
入場料を払って多くの人が来る写真美術館ともいえるLumiere Brothers。モスクワではこのように有名な観光地のひとつとしても知られています。
ソーホーのような場所にひときわ目立つ白い建物がLumiere Brothers。川に面した気持ちのいい通り沿いにあるモスクワ随一のギャラリーです。
エントランスを入ってすぐのチケットカウンター前には吉田繁先生の写真展のポスターが貼られていました。いくつもの写真展が同時開催中でした。
BookShopとCafeがあり、奥行きもかなり深く、その両側にも仕切られたいくつもの会場がある。こんなに大きなギャラリーは初めて見ました。
同時開催のひとつは20世紀のアメリカを代表するアーノルド・ニューマン。これは彼の最も有名な作品、作曲家ストラビンスキーを写したもの。
ここに座るとストラビンスキーの写真のようになる仕掛けが……。ピカソやブレッソン、細江英公さんのポートレートなどが展示されていました。
こちらが吉田先生の写真展会場。おしゃれなカフェの隣に位置する50畳以上の大空間。会場に流れる音楽もギャラリーからのリクエストで吉田先生が選ばれたという。『Calm Wayfaring』という写真展のタイトルにぴったりの静かな曲。ここで見ると作品がより洗練されたように見えました。
プロモーション&オープニング
写真展開催の前日には、モスクワ最大のブックストアでトークショーが行なわれました。担当キューレターのクリスティーナさんが通訳です。
立ち見が出るほどの大盛況。皆さん、熱心に聞かれると同時に、質問もたくさん寄せられました。サインに写真にと大人気の吉田繁先生でした。
オープニング当日の最初はテレビ出演。モスクワのカルチャー番組で、有名なキャスターから作品についてのインタビューを受けました。
番組収録が終わったところでテレビ局のカメラマンからも質問を受ける吉田先生。テレビ局もクルマで送り迎えしてくれるという歓待ぶりでした。
テレビの次は雑誌の取材。Lumiere Brothers のカフェで、Projectの作品やステートメント、プリントテクニックについて話していました。
吉田先生の担当キューレターであるクリスティーナさんとエカテリーナさんのオフィスで、雑誌用の写真撮影も行なわれました。
トレンドセッターと呼ばれるアートの価値を決めて、それを牽引していくVIP用の特別なトークショー用に綿密な打ち合わせをしているところ。
驚くほどたくさんのプロモーションが企画されているのに感動しましたし、そのひとつひとつをキューレターの方々がとても熱心にやってくださる姿には頭が下がるばかりでした。そういう意味でもまた、素晴らしいギャラリーであり、ほかにはない貴重なギャラリーといえそうです。
モスクワで有力な、アート・トレンドセッターのグループが作ったブログ。
翻訳ソフトで訳してみると、彼らが何を必要としているのかよくわかります。
http://www.snob.ru/selected/entry/78623
チーフ・キューレターであるエカテリーナさんが司会と通訳をしてくれたVIP用のトークショー。ここでも多くの質問が寄せられていました。
オープニング・パーティの前にこうして作者の話が聞けるのは、アートのわかる購入者であり、VIPといわれる人だからだということらしい。
VIP用のトークショーが終わると同時に作品を見始める人々。かなり真剣に見ているが多く、日本では感じたことのないほどの熱っぽさがありました。
いつのまにかオープニング・パーティが始まり、ほかの見学者たちも続々と会場内に入ってきました。ここでも吉田先生の紹介やスピーチなどが……。
トークやスピーチが終わったところで、次々にテレビの取材を受ける吉田先生。覚えていただけで5つはあったでしょうか。どの作品をいちばん気に入っているか、こんなに多くのテクニックを使えるのはなぜか、などの質問がされていましたが、これら全部に答えられないとアーティストとはいえないのかもしれません。
吉田先生がテレビのインタビューに答えたり、VIPの質問に答えたり、一緒に写真を撮ってあげたりしている間に、素敵なカフェではシャンパンが配られ、ここでもその作品についての感想が飛び交っていました。
ダイジェスト動画
4年前から海外のフォトレビューに挑戦し始めた吉田繁先生。そして一昨年、ギャラリーと契約して、世界への最初の一歩を踏み出しました。今回はそのギャラリーでの2ヵ月を越える写真展です。予想以上にギャラリーの方々は一生懸命に作品を売ろうと努力してくれていました。ただし、写真展が開かれることになったとしても、そこに吉田先生が出かけていかなければ、これらのプロモーション・イベントはすべてなかったでしょう。そう考えると、「すべては動かなければ始まらない」といえるでしょう。SAMURAI FOTOメンバーもそんな吉田先生に続いて、海外でどんどん活躍していきます……。